探究学習において、生徒の自主性に任せて「好きなことや興味のあること」だけを条件にテーマ探しをさせると、どうしても趣味の延長線になってしまうことがあります。
例えば犬、猫、ディズニー、K-Pop、最近なら”推し活”などでしょうか。
私の高校時代の研究論文の作品集を見ても、ディズニー、K-Pop、ペットをテーマにした作品がありました。
中高生が興味を持つ、避けては通れない分野です。
そんなとき、まずは好きなことを好きなだけ「調べ学習」する時間があっても良いかもしれません。
ただ、そこで終わっては「調べ学習」止まり。
趣味の延長線上のようなテーマだったとしても、教員による問いかけによって、好きなことからテーマを広げることは可能です。
その際、ただ「好きなこと」にとどまらず、「社会とのつながり」や「社会をよりよくするには」といった視点(これは一例です。それぞれの学校で方針を決めてください)を意識して問いかけをすることが、伴走者としての教員の役割です。
そして、教員が自分の専門外のことであるほど、伴走者として成長するチャンス、と『探究的な学びデザイン 高等学校 総合的な探究の時間から教科横断まで』では書かれています。
例えば、K-Popは(教科ではありませんが)私は詳しくありませんし、興味もありません。
そこで生徒がK-Popについて調べたい、となった場合、私は詳しくないのでいろいろな疑問が湧いてきます。
「K-Popのどういうところが好き?なぜ好きなんだと思う?」
「日本でK-Popが好きな子ってどんな人かな?共通点は?」
「K-Popが日本で人気が出始めたのっていつ?」
「K-Popの曲の歌詞ってどんなことを歌っているのかな?」
「その歌詞はどんな社会を反映していると思う?」
「K-Popのアーティストは本業以外にどんな活動をしている?」
「K-Popによって日本社会にどんな影響があると思う?」
あくまでこれらは本を読んだ上での私の思いつきですが、こういった問いかけを繰り返し、深掘りしていくと、生徒は新たな疑問や興味に出会うかもしれません。そうしたらどんどん深めていけば良いと思います。
もしくは、「いや、これはただ好きなものだから、そこまで深く突っ込む興味はないな」などとなるかもしれません。そうしたら、このテーマは探究には向いていない、と判断して、早い段階で次のテーマ探しに時間を取れるでしょう。
探究学習指導の道筋が、また一つ増えた記録でした。
参考文献:
『探究的な学びデザイン 高等学校 総合的な探究の時間から教科横断まで』(酒井淳平/著)