探究学習について調べていると、「教員が探究する姿勢が重要」という主張をよく見かけます。
探究学習のことばかり勉強していると「その通りだな」と自然に思えるのですが、慣れない人にとっては「教員はただでさえ忙しいのに、悠長に探究している時間なんてないのでは」と思われるかもしれません。
そこで、「教員自身が探究者であるべき」根拠の一説を見つけたので、紹介します。
探究学習は、徒弟制という教育方法を応用できるといいます。
徒弟制とは、昔ながらの、親方に仕えて働きながら徒弟が技能を学ぶ教育方法です。
ドラマとかでよく見る光景ですね。
そのプロセスは以下の通り。
教育者が学習者に行為を見せ、学習者に観察して学ばせる
②コーチング
教育者は学習者に実際に課題に取り組ませて、細かくフィードバックを行う
③足場かけ
教育者が補助しながら、学習者にできることを任せていくと同時に、補助を減らしていく
④関連づけ
教育者の問いかけにより、学習者に自分がやっていることを言語化させ、知識と課題への取組を関連づけさせる
⑤振り返り
教育者は、学習者に自身の課題への取り組みを振り返るよう促す
⑥探究
教育者は、課題への取り組みを内面化させ、次の目標や課題をつくるよう促す
ここでは、教師がモデリングとして、自分が現在行っている研究や、大学時代に行った研究などを紹介する例を挙げています。
もしくは、別の本では、教員同士が自分の担当科目に対して「その教科を学ぶ意義」を語り合い、探究する姿を生徒に見せるところから、カリキュラムをスタートさせている事例がありました。
他の教科の見方・考え方に触れることで、自分の専門とする教科にも新しい気づきを得られたといいます。
そういった教師の気づきを生徒に伝えることで、生徒が探究という学びに向き合う姿勢を変えていくこともできるのです。
実例を見ているだけでは生徒が実践できるとは限りませんが、ただ見るだけではなく、「学べることを盗む」姿勢を求めれば、そこから疑問や課題を見出すことができ、取っ掛りとしては十分効果がありそうです。
そもそも、私の持論としては、実家で何も家事をしない父親に「家事を手伝え」と言われても全く響かなかったように、言葉より行動で示すことが、教育者としてあるべき姿なのだと考えています。
探究学習も同じです。
それを忘れず、明日からの新しい仕事、頑張ってきます。
参考文献:
『高校教員のための探究学習入門』(佐藤浩章/編著)
『探究的な学びデザイン 高等学校 総合的な探究の時間から教科横断まで』(酒井淳平/著)