藤原さとの『「探究」する学びをつくる 社会とつながるプロジェクト型学習』を読んでいます。
藤原さと氏は、私が探究学習の勉強を始めて割とすぐに、新聞や本の中で何度か見かけるようになったので、探究学習のパイオニアのひとりだと思っています。
本書の中で、「批評」の重要性が指摘されていました。
どんな仕事も勉強もプロジェクトも、フィードバックなしには成長しないので、この意見には全面的に同意します。
ただ、日本の学校で批評の力を育てるのは、いかんせん難しそうだなあと思いました。
「より美しい」「より質の高い」ものをつくっていくための相互の批評には「痛み」を伴うことがあることを知る必要がある。
一緒に誰かとものを創作するということは、自分の「痛み」を知るだけではなく、相手の「痛み」を知ることでもあり、もしくはお互いの「痛み」を分かち合うことで、より強固な共同体をつくっていくことを学ぶことでもある。
この「痛み」が、日本人は苦手な人が多いような気がします。批評を受けただけで、人格を否定されたような気持ちになったことのある人も、いるのではないでしょうか。
本来、批評は感情と切り離して考えるべきですが、それに慣れていないとどうしても自分自身を否定されたような気持ちになるのはわかります。
ただ、「痛み」から逃げずに生徒同士の批評の機会を増やし、相手の人格否定になるような言い方になっていないかに気を配るのも、指導者の役割のひとつなのだろうと思います。
山口裕之(2022)も次のようなことを述べています。
ともに「正しさ」を作っていくということは、(中略)とことん相手と付き合うという面倒な作業です。相手の言い分を受け入れて自分の考えを変えなければならないこともあるでしょう。それでプライドが傷つくかもしれません。しかし、傷つくことを嫌がっていては、新たな「正しさ」を知って成長していくことはできません。
耳が痛いなあ・・・(「痛み」から逃げ続けてきた人生なので)
自分一人の考えだけに固執するのではなく、他者との対話や批評を通してしか得られないものもある、ということを肝に銘じて仕事や探究に邁進していこうと思います。
参考文献(どちらもオススメ本です!)
『「探究」する学びをつくる 社会とつながるプロジェクト型学習』(藤原さと/著)
『「みんな違ってみんないい」のか?』(山口裕之/著)