探究学習のすゝめ

探究学習のスペシャリストを目指す初心者がアウトプットする場として。

「総括的評価」と「形成的評価」

 

探究学習において、教員が頭を悩ませることの一つに「どのように評価するか」という問題があります。

 

数値では測りきれないスキルをどのように評価していくのか。

 

『「探究」する学びをつくる 社会とつながるプロジェクト型学習』から、評価方法についてのヒントを得たので紹介します。

 

まず、従来の学校で「通知表」という形で学期末に行われていた評価方法を「総括的評価」といいます。

 

しかし、皆が当たり前だと思っている「総括的評価」には問題点があります。

 

著者の藤原さと氏は以下のように問題点を指摘しています。

 

総括的評価では、何かに現在進行形で取り組んでいるときに、その学びの価値や質を判断することができず、したがって自分の行為をプロセスのなかで具体的に変えていくことができない。

 

会社の評価も同じですね。

私の勤めていた前職でも、半期ごとに目標を設定しては、期中仕事に追われては目標を忘れ、期末に慌てて目標を思い出して自己評価をしていました。

これでは目標も評価もほとんど意味をなしていないことは、よくわかります。

 

一方で、「形成的評価」というものがあります。

プロジェクトを進行していく中で随時評価活動を行うというものです。

問題が起こったらそれを振り返り、解決する手法を見出す。短いスパンで学んだことや成長したことを振り返る。

 

こちらの方が、探究学習には向いているのではないか、ということです。

 

目からウロコでした。

 

探究学習の評価方法ではルーブリック評価がよく例に挙げられていますが、『探究的な学びデザイン 高等学校 総合的な探究の時間から教科横断まで』(酒井淳平/著)でも、評価は「みんなでつくっていくもの」だと書かれています。

 

評価の方法を教員だけでなく、生徒にも共有しながら「育てていく」ことで、生徒も身につけるべきスキルを意識することができるのです。

 

学校と企業の共通の課題として挙げられる評価の問題。

 

学校の評価活動から「形成的評価」に変えていけば、その学校で育ったこれから大人になる子たちが、企業で評価文化をも変えていくかもしれません。