探究学習のすゝめ

探究学習のスペシャリストを目指す初心者がアウトプットする場として。

「読書会」で得たもの

 

大人になってから、新しく友人や仲間を作るのは容易なことではありません(社交的な人は違うのでしょうが)。

 

とはいえ、最近はSNSでの交流も簡単で、リアルの世界にとどまらずに仲間を増やすこともできます。

 

なぜこの話をするかというと、私自身がとある匿名SNSで知り合った人たちと「読書会」を行った経験が大きな糧になったからです。

 

先日の記事で参考文献にした『「みんな違ってみんないい」のか?』という本は、この読書会で知りました。

 

この読書会ではフェミニズムに関する本を扱いましたが、読書会を開催した友人がとても博識で、関連するサイトや本をたくさん紹介してもらい、勉強になったのを覚えています。

 

社会とつながる方法の一つとして、SNSでのコミュニケーションも活用すると、さらに世界が広がるかもしれません。

 

 

システム思考と転職活動の経験

他人の視点で気づきを得て、「より本質的な」解決を

 

『「探究」する学びをつくる 社会とつながるプロジェクト型学習』(藤原さと/著)で解説されている、常に学習し成長する組織づくりに必要な5つの指針の中で「システム思考」というものがあったので紹介します。

 

まず、システム思考とは。

例えば多忙な学校運営において、目先の物事への解決策だけでなく、問題を俯瞰して、より本質的な解決を目指すこと、と説明があります。

 

その方法としては、「さまざまな視点をもつ学校外部の人たち、つまりコミュニティと積極的に交流すること」。

 

自分(たち)の見えていないものを内省だけで見えるようになるためには、かなりのスキルが必要とされるが、自分と違う視点、考え方をもつ人が一人入るだけで、システムの矛盾点や当たり前だと思っていた慣習の歪みに気づかされることは多いし、そういう経験をされた方も多いのではないかと思う。

 

なるほど。

ついこの間まで、転職活動に苦労していた私には、とても納得のいく理論です。

 

「ポジウィル」で出会った自分の夢

 

前職では、給料だけは良いものの、仕事内容に興味が持てず、また環境の悪さに辟易して転職活動を考えていました。

 

しかし、自分のやりたいことがよくわからず(”勉強”だけ頑張った学生生活の末路です)、福利厚生のような条件だけで会社を選んで面接に進んでは、玉砕する、ということを繰り返していました。

 

一人での転職活動に行き詰まって、最後の砦と思って広告で見つけたのが、「ポジウィル」というキャリアに特化したパーソナルトレーニングのサービス。

 

自己分析や転職支援のサービスを、60万円ほどで受講しました。

 

自分で転職活動をすればお金はかからないものを、60万か・・・

と躊躇いつつもコーチとの面談を進めていくと、「自己分析を自分でやると何ヶ月も何年もかかるが、コーチングを受けることで最短1ヶ月で自己分析が終わる」とのこと。

 

この本を読んで、この時の面談で言われたことを思い出したのです。

 

実際、私は、このポジウィルのサービスを2ヶ月ほど詰め込みで受けたことで、自分のやりたいことが明確になり、第一志望の転職先に無事内定を得ることができました。(それが今度転職する、探究学習を支援するサービスを提供する企業なのです!)

自分だけで転職活動をしていたときは、何ヶ月も玉砕してばかりだったのに、です。

そして年収は下がりましたが、給料だけよかった前職よりも、とてもワクワクしているのです。

 

学校教育とはちょっと違うかもしれませんが、第三者に関わってもらうことで、自分だけでは気づけない可能性に、より早く気づけることは大いにあると思いました。

「探究」は学校だけにとどまらず、大人になっても、生涯続くものなのだと身に染みています。

これからも探究を支援しながら、自分の人生ももがき続けていきたいですね。

 

他者(時には然るべきプロの人)との交流には課題解決に大きな効果がある、という実体験をお伝えできたなら光栄です。

 

 

 

批評の力

 

藤原さとの『「探究」する学びをつくる 社会とつながるプロジェクト型学習』を読んでいます。

 

藤原さと氏は、私が探究学習の勉強を始めて割とすぐに、新聞や本の中で何度か見かけるようになったので、探究学習のパイオニアのひとりだと思っています。

 

本書の中で、「批評」の重要性が指摘されていました。

どんな仕事も勉強もプロジェクトも、フィードバックなしには成長しないので、この意見には全面的に同意します。

 

ただ、日本の学校で批評の力を育てるのは、いかんせん難しそうだなあと思いました。

 

「より美しい」「より質の高い」ものをつくっていくための相互の批評には「痛み」を伴うことがあることを知る必要がある。

一緒に誰かとものを創作するということは、自分の「痛み」を知るだけではなく、相手の「痛み」を知ることでもあり、もしくはお互いの「痛み」を分かち合うことで、より強固な共同体をつくっていくことを学ぶことでもある。

 

この「痛み」が、日本人は苦手な人が多いような気がします。批評を受けただけで、人格を否定されたような気持ちになったことのある人も、いるのではないでしょうか。

本来、批評は感情と切り離して考えるべきですが、それに慣れていないとどうしても自分自身を否定されたような気持ちになるのはわかります。

ただ、「痛み」から逃げずに生徒同士の批評の機会を増やし、相手の人格否定になるような言い方になっていないかに気を配るのも、指導者の役割のひとつなのだろうと思います。

 

山口裕之(2022)も次のようなことを述べています。

ともに「正しさ」を作っていくということは、(中略)とことん相手と付き合うという面倒な作業です。相手の言い分を受け入れて自分の考えを変えなければならないこともあるでしょう。それでプライドが傷つくかもしれません。しかし、傷つくことを嫌がっていては、新たな「正しさ」を知って成長していくことはできません。

 

耳が痛いなあ・・・(「痛み」から逃げ続けてきた人生なので)

自分一人の考えだけに固執するのではなく、他者との対話や批評を通してしか得られないものもある、ということを肝に銘じて仕事や探究に邁進していこうと思います。

 

参考文献(どちらもオススメ本です!)

『「探究」する学びをつくる 社会とつながるプロジェクト型学習』(藤原さと/著)

『「みんな違ってみんないい」のか?』(山口裕之/著)

 

オススメ本3

 

『社会とつながる探究学習 生徒とともに考える22のテーマ』を紹介します。

 

まず、探究学習指導者が学ぶ入門書におすすめ。

 

三部構成の本書は、探究学習の手法から実際に学校の授業で使用されたテーマまで、幅広く網羅されています。

各章を、あらゆる中高大学の先生が執筆している盛りだくさんな内容です。

 

第1部 探究学習の方法

課題の設定

情報の収集

整理・分析

まとめ

といった一連の流れをつかむことができます。

 

第2部 社会とつながる方法

タイトルの通り、学校内にとどまらない教育を目指す実践の方法が、たくさん詰まっています。

 

第3部 22のテーマと実践の記録

第1部と第2部で例示された手法が、各テーマごとの実践の記録内で、実際にどのように使用されているかがわかる構成となっています。

 

総括

とにかくボリュームが多い!!

特に第3部の22テーマをじっくり読み込もうとすると、図書館で借りるだけでは時間が足りず。

一冊買って、必要に応じて参照する参考書的な使い方をしようかな、と思います。

 

気になったら、ぜひ。↓↓↓

www.amazon.co.jp

古着deワクチン 〜身近なSDGsの取り組み〜

 

皆さんは、いらない洋服やカバン、靴などをどのように処分しているでしょうか?

 

ゴミに出す?メルカリで売る?古着屋さんに売る?人に譲る?

 

もう1つあります。

 

「古着deワクチン」です。

 

1回3000円で、30kgもの衣類やカバンなどを専用の袋で出すことで、部屋が片付くだけでなく、古着は国内外で活用され、ワクチンが子どもに寄付されるという「一石三鳥」ものです。

 

ただゴミに捨ててしまうより、ずっと「誰かのためになる」行動になります。

 

私は独身の頃、親に教えられてこの仕組みを知り、大掃除や結婚するときの引越しのタイミングで山のようにいらない衣類を出しました。

 

長く着た衣類など、愛着がわいているとなかなか捨てられないもの(捨てられる人は羨ましい)。 それが誰かのためになると思えば、思い切りよく手放せるので、私には向いていました。

 

不用品処分のために3000円と思うと高い気もしますが、私は「一石三鳥」分の価値はある必要経費だと思っています。

 

実際、結婚後初の引越しを控えた今、再び断捨離祭りのため、「古着deワクチン」の袋を買うことに。

 

 

通常版(3000円)の袋はかなり大きく、実家(戸建て)でも玄関を埋め尽くす勢いだったので、狭い賃貸の我が家はミニ版(2500円)にしました。

(約1年前に断捨離して引越してきたはずなのに、夫の分もあるとはいえ、なぜまだこんなにあるのかw)

 

学生には不用品処分に3000円は高いかもしれません。

 

ただ、3000円の通常版の袋は相当大きいので、家族みんなで家中の眠っている服を掘り出せば、十分価値はあるはずです。

 

(日頃から意識しているのでSDGsとかいう言葉はあえて使いたくないですが)

ぜひ、身近な行動から、SDGsを。

探究のきっかけとなるヒントになるかもしれませんよ。

 

※送れるもの・送れないものがあるのでよく公式サイトの注意書きを読んでくださいね。

ちょっと寄り道も大切

 

今、探究学習の進め方について必死で調べている私は、手当り次第に関連書籍を読み漁っています。

そして、自らもインプットするだけの勉強にならないよう、実践としてこのように日々ブログの記事を書いています。

 

始めてまだ少ししか経っていないのに、継続は力なり、なのか、毎回何人かの方にいいねをいただいており、それがモチベーションにもつながっています。ありがとうございます。

 

毎日(は無理でも週に何回かのペースで)ブログを書こうとすると、それなりのインプットも必要で、でも本に書いてあることの受け売りだけじゃ面白くないな…と自分の経験談にも結びつけようと思い返すと、意外とネタは見つかるもの。やはりアウトプットを意識するだけで、こんなに思考が活性化するのですね。「実践は力なり」を日々感じます。

 

とはいえ、探究学習に関する本は、そこまで数が多くありません。特に区立図書館などでは調べても調べてもほとんど蔵書がない始末。

区立図書館にある中で気になる本は、あらかた読んでしまいました。

 

そんなある日、立ち寄った本屋でもダメ元で探究学習の本を検索してみました。

 

案の定、探していた本はほとんど在庫がなく、唯一在庫があると検索結果が出てきた本も、該当の棚を探しても探しても見つからず…(買うか分からない本をわざわざ店員さんに探して出してきてもらうのは気が引けるチキンなのはこの際置いておくとして)。

 

諦めて周辺の本棚にある面白そうな本をペラペラとめくっていると、なんとかなり今後のヒントになりそうな1冊を見つけたのです!(慌ててスマホにメモメモ)

その本のタイトルに「探究学習」というワードは入っていません。

本屋でぶらぶらと寄り道しなければ、おそらく出会えなかった本です。

本屋だけでなく、Amazonで「この本を買った人はこんな本も買っています」を見てタイトルを控えておくのもよいのですが、やはり本屋や図書館で近くにある本を手に取ってみることで、タイトルからは見えない「棚ぼた」の発見があります。

 

ちなみにこの時は最寄駅の駅ビルにある本屋に行きましたが、後日東京駅の丸善に行ったところ、探究学習に関する本の在庫が桁違いで、余裕で1時間は居座って買う本を吟味しました(笑)(大興奮)

 

外山滋比古の『思考の整理学』でも書いてあったとおり、「見つめるナベは煮えない」。

同じところばかり根詰めて調べているより、ちょっと力を抜いて寄り道するだけで、新しい出会いやひらめきも生まれる、という実体験のお話でした。

 

探究学習の発表を、どのような形にするか

 

探究学習の年間授業スケジュールを組むとき、まず考えた方がよいと思うのが、どのような成果発表の方法にするか、ということです。

 

考えられるのは、

・クラス内の発表

・学内の発表

・文化祭などで外部への発表

・小論文コンクールなどへの応募

・各種コンテスト

こんなところでしょうか。

 

とはいえ、できるだけ対外的な発表の場を最初から想定して、探究学習を進めた方がモチベーションになると思うのです。

 

私自身、高校生のときに当時(2010年代)の学校としては先進的な研究論文を書く取り組みがありました。

その時はどこにも発表することはなく、ただ個人で先生のサポートを受けながら、それぞれのテーマに向き合うスタイルでした。

最終的に優秀作品集が作られて配られましたが、それが探究のモチベになった覚えはありません。

 

藤原さと(2020)も、「『発表成果物』『制作物』『出版物』をつくって一般公開する、という行為」によって学びのモチベーションが得られる、と主張しています。

「一番モチベーションが上がらないのが、現状の多くの学校で求められている『教師のための提出物』である」とも述べています。

 

やはり、最初から何かしらの発表という目標を目指して探究を進めていくのがベストです。

 

その発表の場を準備するのも、教員や探究学習サポーターの大きな役目になるのだろうと思います。

 

 

■参考文献

『社会とつながる探究学習 生徒とともに考える22のテーマ』(全国民主主義教育研究会/編)

『「探究」する学びをつくる 社会とつながるプロジェクト型学習』(藤原さと/著)